タイ人と行く高野山2015(2)大阪 司馬遼太郎記念館

司馬遼太郎記念館

さてどうしようか。まずは朝ごはんを食べようと思い、南海の駅付近を歩いて探すと、モーニングセットを提供しているところがいくつかあった。そのうちの1つに南海パーラーという店があり、ちょうどお客さんが入っていったので、釣られて入っていく。なかなかいい雰囲気だが、まだ朝早く、お客は少ない。ハムエッグセット、470円を注文すると、トースト、目玉焼き、ハムサラダにコーヒーが付いていた。ただ私が思い描いていたハムエッグとはたまごとハムが一緒に焼かれているものだったので、ちょっと意外だが、新鮮感がある。更に目玉の上には醤油でもソースでもなく、ケチャップが掛かっている、なるほどこれは関西風なのか。パンの焼き具合がなかなかいい。

DSCN0018m

 

ネットを繋いで、PCに触っていると、隣には台湾人の親子4人が座った。彼らはモーニングセットなど頼まず、ジュースからスタートし、思い思いの食べ物を個々に注文していた。内容が分からなかったのだろうか、いやお父さんは簡単な日本語を使っていたので、理解したうえで好きなものを頼んだのだろう。まあ楽しい旅行の朝ごはん、ホテルで食べるよりは安いだろう。トイレに行こうとすると、店内にはなく、何と駅の構内にあるトイレを使って、といわれる。これには結構驚いたが、駅員も慣れたもの、気持ちよく通してくれた。

DSCN0019m

 

それから近鉄に乗る。いつか一度は行ってみたいと思っていた、司馬遼太郎記念館訪問を突然思い立つ。何と言っても私を歴史好きにしたのは、司馬遼太郎であることは間違いがない。国盗り物語を大河ドラマで見て以降、とり付かれたように司馬の歴史本を漁って読んだ。何を読んでも新鮮で、ワクワクして面白かった。近鉄奈良線の快速で河内小阪という駅で降りる。どう行けばよいのかと周囲を見ると、商店街に記念館の文字が見え、道なりに歩いていく。

DSCN0022m

 

完全に大阪の民家が並ぶ場所を通って行く。司馬遼太郎は大阪のおっちゃん、という雰囲気が出ていたが、住んでいた場所の周囲を見ると何となく頷ける。駅から歩いて10分以上経った頃、、ようやく記念館の入り口が見えた。門のところには職員が立っており、『こちらです』と言われて、入っていく。ここは司馬が住んだ家、執筆していた部屋が見られ、そこからクス、シイ、クヌギなどが雑多に生えた庭を愛でた様子がよく分かる。緑に囲まれており、落ち着きがある。

DSCN0023m

DSCN0034m

DSCN0033m

 

その自宅横には現在新国立競技場で何かと話題の安藤忠雄が設計したモダンなデザインの記念館が建っている。この記念館は見るよりも感じる場所だ、と書かれている。特に2万冊にも及ぶ、収集された蔵書・資料が広い空間に展示されている。勿論司馬の著書も全て展示されており、見ていると懐かしさがこみ上げてくる。ちょうど『城塞』に関する特別展が開かれており、書中の重要な文面と、その説明がなされていた。

DSCN0030m

 

更には生前の司馬が登場するビデオを見ることも出来た。『自分の原点は22歳の終戦』であるとして、その上で『日本はなんて馬鹿な国になったんだ、世界も知らないし、人々も知らないという思い。それが小説を書く原点』であるとはっきり語っていた。今から20年前の映像である。既に今日の、何とも言えないバカバカしい世の中の状況がその時点で、十分に見えていた、と言えるようだ。日本はこの100年、きっと何も変わっていないのだろう。何とも残念な話だが、これが突き付けられた現実だろう。確かに何かが感じられる記念館であった。

 

ここを後にして、今度は来た道と反対へ行く。八戸ノ里(やえのさと)という名前の駅の方が近いというので、そちらへ向かったのだ。確かにそれほどかからずに、駅に着いた。道も分かりやすい。まだ少し時間があったので、早めのランチを探す。駅の所に王将があったので、入ってみた。餃子を食べればよいと思っていたが、何故か酢豚定食を注文してしまう。

DSCN0036m

 

あー、何とも言えない日本の中華料理だな、と感じる。この酢豚はこれで十分にウマイ。ただある意味でこの味は日本料理というべきであろう。30年前、上海に留学した時、ホテルの食堂で食べた酢豚には野菜もパイナップルもなかったな、と急に思い出したりする。元祖焼き餃子、果たして誰が日本の元祖かは知らないが、確かに中国には無い味だ。焼き餃子は水餃子の余り物、と30年前に言われたことも蘇る。

 

それから電車に乗り、難波まで戻る。八戸ノ里の駅は各駅停車しか停まらないため、すぐに電車が来なくて、意外と時間が掛かり、ちょっと焦る。難波でも近鉄と南海の駅はかなり離れている。何とか行き付き、コインロッカーから荷物を取り出す。南海のホームへ急ぎ、橋本行きの急行を待っていると、車両は直ぐにやってきた。タイ人とA師夫妻とはここで待ち合せており、探してみると、A師はすぐに見つかった。ただタイ人一行の姿は全く見えない。A師も『この電車に間に合うかどうかは疑問』と言い、まあ放っておくことにした。

 

もうすぐ発車というタイミングでタイ人は奇跡的に電車に乗り込んできた。やはり師匠に対する敬意は持っているらしい。聞いてみると朝からずっと、黒門市場をウロウロしていたという。朝ごはんに食べた魚が美味しかったとか、欲しいものが沢山あったとか。中にはかなり値段の高い桃を平然と買って喜んでいる人もいた。『バンコックで日本のフルーツを買ったら、トンでもなく高い』のだというが、今回のご一行、かなりの購買力を持っているようだ。

DSCN0038m

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です