両岸三通の茶旅2015(25)台北 小曼から夜市、そして早朝の空港

小曼

その先を小道に入り込む。そこには少し前の台北の街の風景が細い路地に溢れていた。住所を見ながら進んだが、見付からない。よく見ると完全に通り過ぎていた。特に看板も出ていない古民家、これは分からないわ。恐る恐るドアを開ける。上手く開かない。どのくらい古い家なのだろうか。中は何と言ったらよいのか表現に困る不思議な空間があった。骨董家具がゆったりとした空間の中に浮かんでいる。お茶を売っているのか、茶器を売っているのか、いやこの空間を売っているのか。何ともよく分からないが居心地は悪くない。

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私の後ろから3人の男女が入ってきた。うちカメラを肩から下げた一人には見覚えがある。写真家の菊池和夫さんだ、とすぐに分かった。彼の茶芸館の本、読んだ記憶がある。何故わかったかというと、最近Facebookに載っていたのを思い出したからだ。東方美人の里、北埔のFB友の所に菊池さんが行ったらしい。すぐに行動がばれてしまうから、FBは怖い。

 

Yさんに菊池さんが来ていることをそっと耳打ち。そこに日本人女性が数人入ってきた。その中に小曼先生も一緒にいた。皆さん、菊池さんに気が付き、挨拶を交わす。中国茶芸をやっている人なら、彼の本を見たことがあるだろう。菊池さん『俺、名乗っていないのに、何で分かったの?』と不思議そうだ。ちょっと見るだけのつもりでやってきた彼は店の中の撮影を始めた。突然目の前で取材のような状況が起こり、皆も興味津々だった。

 

Yさんに紹介されて、小曼さんとちょっとお話した。今晩は、生徒さんたちと食事会があるとのこと、忙しそうだったのであまり質問はしなかった。小曼さんは『お茶でも飲んでいって』と言い、Yさんにお茶の用意を指示した。急に本格的な茶芸の世界がやってきた。これもまた面白い。私も菊池さんに倣って、店内を撮影してみた。なかなか上手くいかない。

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すでに誰もいない店内。Yさんが戸締りをして外へ出ることに。そこへこの家のお手伝いのインドネシア人女性がやってきた。彼女は一言『中国語で来ません』という中国語を言った。来たばかりなのだろうか。25年前に覚えた数語のインドネシア語を使ってみたら、喜んでくれた。ネシア語は比較的発音が易しく、単語も覚えやすい。次にインドネシアに行くのはいつだろうか。スマトラ島のメダンという街に茶畑があると聞いているのだが。

 

夕飯

Yさんと夕飯を食べに行く。古亭の近くは学生街であり、ちょっとした食事は簡単に食べられるが、落ち着いて話しながら、ゆっくりできる場所は見付からない。仕方なく、また永康の方へ歩いていく。青田の高級マンションを抜けると、レストランが見えてくる。どこへ行こうかと考えていると、2年ぐらい前に大勢のお客で込み合っていた食堂を思い出す。今日も満員だろうな、と思って行ってみると、簡単に入れてしまう。台北も流行り廃りが激しい。以前はガイドブックを持った日本人が沢山いたのだが、今日は見掛けない。昨年小楊が連れて行ってくれた同じ永康街にある大来などはどうなんだろうか。次回はフラッと行ってみるか。

 

このお店、まず注文してから席に着く。Yさんとこの1年のお茶話に夢中になり、何を食べたのかよく覚えていない。彼女とは昨年台北で10日間に4回も会い、その後エコ茶会で再会、更に彼女が東京で時々やっているお茶バー?に行ったことも。何とも不思議な雰囲気の女性でそれ自体が面白い。突然私に『奄美大島、行ってください』などと言ってくる。茶畑あるのか、と聞くと、そこにはないけど、徳之島にはあるらしい、と屈託なく言う。

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食事が終わると『Sさんが会いたい』というので、地下鉄に乗り、中山駅まで行った。Sさんとは昨年大来の食事会にYさんが呼んできた若手料理人。彼は今も日本食レストランで料理を作っているという。ちょうど店が終わる時間になり、そこで再会した。日本人がしっかり作る、日本の定食をやっている店らしい。次回は是非ここで食べてみたい、と思う。

 

夜9時を過ぎ、レストランは大体閉まってしまう。食事をしていないSさんと夜市に行ってみる。そこで彼は適当に食べたい物を買い、食事を済ませた我々と、座れる店に入って話す。夜市は相変わらず混んでいて、観光客も多い。台湾といえば夜市というのも浸透した。Sさんは『これからもずっと台湾で働きたい』という。日本より台湾の方が楽しそうだ。

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5月14日(木)

早朝の空港

11時半頃、宿に歩いて戻る。明日の朝のフライトは午前6時35分発。早く寝ようと試みるが眠れない。1時間ぐらい格闘したが諦めて、起きていることにした。シャワーを浴び、旅行記などを書いてみる。何となく時間が過ぎ、3時半前に宿を出た。駅前の大通りに車の姿はない。バスターミナルへ行くと、何とまだ開いていなかった。建物を一周する間に、乗客が数人やって来て、係のおじさんも位置に着く。こんな時間に空港に行く人もいるんだな。バスは4時ちょうどに出発し、そして4時半過ぎには桃園空港に着いてしまう。

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こんな時間に人がいるのだろうか、と思ってターミナルに入り、驚く。人で溢れかえっていたのだ。私が乗るスクートの前は勿論、その付近にも早朝出発便が何便もある。掲示を見ると日本行きが非常に多い。なんと一番早い便はLCCではなく中華航空の5時20分発関空行き。今やアジアの空港は大きく変わってきている。私が乗る便もシンガポールから台北に早朝にやって来て、そのまま成田まで行くのである。

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スクートは中国語名、酷航。日本語で見るときついが、クールという意味を持っている。LCCなので機内サービスは何もないが、早朝のこと、ほぼ全員が眠るのでサービスは不要。乗客は台湾人、それも比較的若い人でほぼ満員。10時40分には成田空港に着いてしまう。そのままディズニーランドへでも行くのだろうか。私はフラフラしながら、電車で帰宅した。世の中、便利になったものだ。今回の長い茶旅が終わった。そして今日は誕生日だった。

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