両岸三通の茶旅2015(18)馬祖 媽祖生誕祭

5月9日(土)

媽祖生誕祭

午前8時に部屋の窓から下を見ると、既に大勢の住民が集まっている。街内アナウンスが響き渡り、祭りの開始を知らせ、更に住民に集まるように求めている。まさに村の祭りの様相だ。小雨が降っていたが、みな気にもせずに最後の準備をしているようだ。私も何となく気になってしまい、下に降りていく。廟の脇には大きな豚が丸ごと、奉納されており、迫力がある。

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海の方を見ると、こちらにはお揃いの服を着こんだ人々が何かを待っている。管理人に聞くと『媽祖様が海からやってくる』というので、海辺に行ってみる。お揃いの服だけではなく、被り物をしている人、大きな旗を持っている人、獅子舞の大きな獅子を操る練習をしている人々、地域ごとに、学校単位で、媽祖様を待っていた。台湾のマスコミも数社来ており、この祭りの大きさが分かる。ドローンを飛ばして、取材を進めているのが何とも面白い。

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途中雨が降ってきたが、みな構わずに海の方を眺めている。雨に煙る港についにフェリーがやってきた。爆竹が一段と大きく鳴り響く。それを合図に皆が少しずつ動き出した。露払いのようなじいさんの被り物が、先頭を払っていく。その後ろから整然として列をなし、みなが廟に向かって歩いていく。小型の山車も出ていた。島の役場幹部も沢山来ており、人々に声をかけ、激励している。皆顔なじみのようだ。本当に島を挙げてのお祭りであることがよく分かる。

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隊列は真っ直ぐに廟には向かわず、港前の小さな廟に寄り、それから狭い路地を練り歩く。地元住民は総出で戸外に列をなし、山車が通ると、線香を捧げている。その祈りの姿が実に良い。老人が多いが、サポートしている若者もいた。台北あたりから祭りのために戻ってきたようで、微笑ましい。坂を登り始めると、また爆竹がすごい。もう耳が裂けそうな音だ。

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廟の階段を上がっていき、廟の正面で祈りを捧げている。ここで一大イベントがあるのかと待ってみたが、少し経つと隊列は廟から離れ、更に坂を登り始める。恐らくは県庁の方まで行くのだろう。さすがにそこまで付いていくと大変なので、諦めて戻る。既に清掃車がやって来て、爆竹のゴミなどが片付けられている。さすが台湾、中国ではあり得ない対応だ。港付近には祭りを見に来た観光の人々が沢山おり、小雨の中、バス停に避難する人もいる。

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そこで腹が減っていることに気が付く。港前の昨日の食堂へ行くと、今日は大入り満員。それはそうだ、これだけ大きな祭りで、食べるところはないのである。何とかサンドイッチと蛋餅をゲットして、頬張る。祭りだからといって屋台が出るわけでもなく、地元の人は祭りで忙しいのである。

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食後、そのまま観光に行く。といってももうバスも飽きたので、近くへ。実は馬尾からフェリーでここへ来る時に、大きなスローガンが見えていた。「枕戈待旦」と書かれていたが、どんな意味があるのだろうか。小高い丘の上にあるのかと思っていたこのスローガン。実は地上5階建ての建物の上に置かれていた。外の階段を登ってみると結構きつい。1958年に馬祖島を視察した蒋介石が書いたものだという。「矛を枕にして寝て、あしたを待つ」とは、すなわち戦いの準備をいつも怠っていないということを表わしており、馬祖の軍隊を鼓舞していた。

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ここからは港付近が一望できる。そして下には蒋介石の像が見える。遥か福州の方を向いて、故郷への復帰を夢見ていたのだろうか。蒋介石の像は色々な場所にあるが、この像を見ていると、その重みを考えずにはいられない。この島の置かれていた位置、過酷な運命、日本人は一度この地で戦争についてよくよく考えてみるのが良いのではないだろうか。雨に煙る港はほんの少し何かを語っているように見える。

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宿へ帰り、室内に干した洗濯物を片付ける。いよいよこの宿を離れる時が来た。しかしなぜか荷物が収まらない。既に茶葉などで満員になっていたのだが、一度出してしまうと、同じようには入らないらしい。そのうちに管理人が迎えに来た。無料で空港まで送ってくれるというのだ。素晴らしい。荷物はまた紐に括り付けて、下まで下ろす。このサービスは良い。

 

空港までは10分かからない。既に訪れた八八坑道のすぐ上だ。3時50分発の国内線フライトなので、3時過ぎに来ても余裕だ。管理人は車を降りて、チェックインカウンターまでちゃんと付き添ってくれる。何という親切。そして預け荷物のカウンターに行くと長蛇の列。台湾人のグループが『10kgを越えているか』で各自の荷物の賭け?をしていて、一喜一憂。これはまずい。私の荷物は来る時に14kgだった。今回は超過料金を覚悟したのだが、結局超過していても、料金は徴収されなかった。何故だろうか、ラッキー。待合室にはまだは入れない。

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出発10分前にようやく搭乗。飛行機はART72という小型双発機。このサイズだとすぐに満員になってしまうのだろう。滑走路が短いのかもしれない。エバ航空の子会社である立栄航空が運航していた。復興航空より信頼感を感じてしまう。フライト時間は40分程度。コーヒーが出てきただけですぐに松山空港に着陸した。これくらい早いと楽でよい。楽しかった馬祖ライフも、あっという間に終わってしまった。

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