両岸三通の茶旅2015(16)馬祖 海辺の軍事施設と媽祖巨人像

5月8日(金)

馬祖街歩き

朝はかなりゆっくり起き上がる。馬祖にやって来た目的は特に何もなく、単なる休養とした。それにしても休養するには絶好のリゾート型宿。お茶を飲みながら、広いベランダから眺める海の風景は本当に癒しになる。天気も悪くないので、昨日に続き、洗濯をしたりする。風が吹き抜ける屋上に洗濯物を干す気持ちのよさ。ハマるな、これは。

 

そしてさすがに腹が減ったな、と動き出した。まあとにかく5階建ての5階にいるのだが、エレベーターがないので、一度下りたら、早々上がって来られない。食事をしたらそのまま観光しようと決めて出る。ところがご飯を食べる場所がない。どうなっているんだ、この島は。港の前の店が1軒開いていたので、何とか滑り込む。活力早餐、と書かれており、朝ご飯しかやっていないらしい。時間はもうすぐ11時となる。危なく食べ損なうところだった。

 

サンドイッチを頼んでみる。トーストにハムが挟まれており、台湾の朝ごはん、という感じが良い。紅茶のホットを頼むと、ビニールカップ?を電子レンジでチンして出してくれる。昨日の紙パックと言い、飲料をあまりに簡素化しているのはちょっと残念だ。個人観光の数人がここで食べていたが、私がここを離れるとすぐに閉店になってしまった。一日中営業しよう、働こう、という感覚はまるでないようだ。凄い。お客の利便性というより、自分の都合で営業している。

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港前に来たバスに乗り、どこかへ行こうとしたが、何と昨日の介寿に運ばれて来てしまった。馬港では、そのまま乗っていればどこかへ行けたので、それを目論んだのだが、何と介寿は終点で、運転手も電気を消して、姿を消してしまった。時刻表を見ると、次は1時間以上もバスは出ないことが分かり、絶望する。

 

仕方なく、街歩き。野菜公園を過ぎ、県庁の脇を歩いて上がる。その上には馬祖酒廠があった。馬祖は高粱酒で有名だという。ちょうど大型観光バスが出て行ってしまい、工場はお休みムードに入ってしまった。『見学可能』とはなっていたが、一人だと受け入れてもらえそうもない。しかも酒を買うつもりは全くないので、外から眺めるだけにして、また歩く。

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その横を見るとまだ登る道があった。そしてほんの少しくと、八八坑道と書かれた洞窟がある。1952年に作られた軍用の坑道。奥まで273mあるとなっているが、その奥からは軍用飛行場に出られる抜け道もあるらしい。軍用飛行場とは、最近民間用に開放され、台北行きの飛行機が飛んでいる飛行場のことだろう。私も明日の午後、ここから台北へ戻る予定だ。

 

坑道入り口には酒樽がきれいに置かれている。今では酒廠に払い下げられ、酒の貯蔵庫として使われているようだ。坑道の冬は暖かく、夏は涼しいとある。貯蔵庫としては絶好の場所らしい。だが、その扉は固く閉まっていた。何と昼休みの閉館時間、結局何も見ることは出来なかった。また歩いて介寿の街まで下り、バスを待つことになる。何ということだ。

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この街にも『老船長カラオケ』とか『上等兵パン屋』など、軍人関係の名前を付けたユニークな店がいくつもあった。昨日見たバス停横の廟には『明日から媽祖生誕祭』という表示があり、大きなお祭りがあることが分かった。明日午前中、何かみられるだろうか。そしてその横には古びた市場があり、その前にはおばあちゃんがやっている麵屋があった。ここで食べたいな、と思ったが、バスが来てしまう。何ともタイミングの悪い旅を続けている。

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バスは私の希望通り海沿いを走った。先ほど乗った港前を通り過ぎ、そのまま馬港の方へ行く。これはいいぞ、途中に前線基地のような場所が見えたので、海沿いの村でバスを下りたが、そこは海に突き出た基地ながら、改修工事中で見ることは出来なかった。向かいには発電所があり、この辺が軍事拠点らしい。

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そして遠くを見ると、何か立派な建物が見えたので、歩いて行ってみた。海辺に建つ別荘のようにも見え、いい感じで建っていた。だが近づいてみてビックリ。何とそこは県営の室内プールだったのだ。しかも使われている様子は全くない。昔軍人のために作ったのだろうか。そのすぐ横に小高くなったところがあり、写真を撮ろうとすると、慌てて兵士が飛び出してきて、こちらに向かって手で遮る。何とそこは現役の軍事基地だったのだ。これには驚いて退散する。中国なら軍事基地を撮影すれば最悪国外退去だ。台湾だって、タダではすむまい。

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そこから馬港まで3₋4㎞を歩いていく。バスはなかなか来ないのだ。曇りがちだが、海が遠くまで見え、眺めの良い散歩だった。小さなダムもあった。そしてついにまた馬港へ来てしまった。今日こそは媽祖観音像を見に行かなければならない。だがその道は予想以上に険しい。かなりの数の階段を登り、それでもまだ続いていく。媽祖巨人像、高さは29m、世界最大の媽祖像だそうだ。これぞ海の守護神。2009年に出来たばかりだとか。小雨が降り、人は殆どいない。

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媽祖像を裏手に降りていくと、教会があった。そこにはベルギー人修道女の記念碑が建っていた。こんな所まで遥々やってきて、島の人々のために尽くした人らしい。何故私がここを通ることになったのか、とても不思議に思っていたが、教会の敷地を出て右に曲がると、何と茶荘があった。昨日見た茶園、あのお茶が何とここで売っていたのだ。神のお導きか。

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