両岸三通の茶旅2015(14)馬祖 突然見つかった快適な宿

5.馬祖

意外な宿は

フェリーを下り、入国審査へ。こちらは馬尾とはかなり違い、ほんわかリラックスムード。更には日本のパスポートを持っていると、『こっちこっち』と係員に呼ばれ、別枠で入国完了。何というゆるさ。という訳であっという間に入国してしまう。今回私が着いたのは、南竿島。ただ何一つ調べておらず、どこへ行けばよいのか、どこに泊まればよいのか、全く分からない。ちょうど旅行会社のカウンターがあったので聞こうと思ったが、ここは他の島へ渡るフェリーのチケットなどを販売するのが主業務であり、地図すら置いていないという。

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仕方なく、別の建物にある観光センターを訪ねた。そこには確かに地図があり、係員がいた。宿泊について尋ねると、そこにいたおばさんが『すぐそこで泊まれる所があるよ』という。どこに、と思っていると、前をスーッと通ったおじさんに『お客さんだよ』と声を掛けている。するとおじさんが『こっちだ』と手招きして、車へ向かう。荷物を積み、何だか突然車に押し込まれる?

 

3分ぐらい行ったちょっと小高い場所に廟があり、車はそこに停まる。そしてその上のビルに向かって荷物を持ち込み、更に驚いたことに大きなバッグを紐に繋いでいる。何をしているんだろうか、意味が分からない。おじさんは建物に入り、階段を5階まで歩いて上がっていく。これは大変だ、と言いながらハアハア言って付いていく。5階はバルコニーになっている。おじさんはその端に行き、ひもを引くと何と荷物が上に上がってくる。原始的だが合理的。

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驚いたことに広いバルコニーの後ろに部屋が4つある。部屋にはソファーがあり、更に後ろの部屋にベッドがあった。かなり広いスペース、ちょっとしたスイートルーム、いや知り合いの家に遊びに来た感覚だ。おじさんは簡単に説明をして、あっという間に去って行く。彼が管理人なのだろうか。それすら分からず、ただ茫然となるが、しかし予想外に良い住処を得たものだ。快適な空間は心地よい。今日は実にいい天気で、海がきれいに見えた。まずは洗濯しようと、備え付けられていた全自動洗濯機を使う。5階の上には屋上もあり、洗濯ものが風に吹かれ、よく乾く。何という素晴らしい環境だろう。しばし休息する。

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雲吞しかない街

少し経つと腹が減ってきた。朝から何も食べていない。だが台湾ドルをあまり持っていなかった。おじさんからは『銀行は脇の小道を登って、下ったところにある』という謎の言葉を教えられていたので、その通りに行ってみる。まさに廟から少し行くとハイキングコースのような小道があり、結構きつい登りを上り詰めると、広い道に出た。そこから下って行くと確かに台湾銀行の支店があり、外貨の両替が簡単にできた。一昨年金門の土地銀行で両替した時は、日本のパスポートを持ち、怪しげな中国語を使う人間として、いくつもの質問を受けたが、ここでは何の障害もなく、台湾ドルをゲットすることができた。嬉しい。

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時刻は午後1時半。銀行から更に下ると街がある。ここは蓮江県の県庁がある場所だった。ちょっと複雑な話だが、馬祖島は中華民国の福建省蓮江県に所属している。街中で食事をしようとしたが、なぜかレストランは殆どが閉まっていた。お客がいないので、開いていないようだった。何とか人に聞くと、小さな店が1軒しかやっていない、という返事。何ということか。

 

教えられた店に行くとおばさんが、一生懸命何かの仕込みをしていた。魯肉飯はあるか、と聞くと、ご飯はない、というつれない返事。そして雲吞しかないという衝撃的な言葉により、自動的に頼む。それなりの街で食べる物が雲吞しかないというのは驚きだ。腹が減っていたせいか、その雲吞は実にうまかったのだが。おばさんは『あんた、一体どこから来たんだ?一人で来た?じゃあ、ご飯ないよね』と。馬祖に観光に来る人は基本的に団体観光なのだろう。確かに平日だが観光バスは何台も走っていた。

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街には人通りが殆どない。県庁前には野菜公園があり、区画された畑に野菜がなっていた。建物は大きいが、何とも田舎の町役場、というムードを漂わせていた。バス停を探すと、その向こうにも広々した公園はあるが、特に何もない。廟が1つあり、祭りの準備をしていた。何の祭りなのだろうか。馬祖は媽祖から来た名前だというが、ここも媽祖廟なのだろうか。

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私の移動手段は公共バスしかないことが分かったので、乗ってみることにした。ここでも遊遊カードが使えた。セブンイレブンを見つけて、チャージもした。介寿というのがこの街の前だということも分かる。バスはここが始発だ。しかしルートは複雑で、何時のバスに乗るとどこへ行けるかは、すぐには分からななかったので、取り敢えずやって来たバスに乗る。乗客は地元の人が数人のみ。

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どこへ行ってよいか分からないので、先ほど港でもらった地図を見て、津沙という集落を目指すことにした。バスルートには山側と海側があるようで、今回のバスは山側を通ったが、時折海にも出て、また山を行くと言った感じで、何となく楽しい。30分ぐらい乗るとバスが急激に下っていく。そして一番底まで下りきると、津沙という旧い町並みが見えてきた。

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