両岸三通の茶旅2015(12)福州 ジャスミン茶の原料緑茶

5月6日(水)

ジャスミン茶の第一人者と

翌朝は7時には起きて、魏さんの店へ向かう。ホテルに朝ごはんがないので、お店で食べるようにと言われていた。ホテルの横にはモスバーガーがあったのでこちらに入ろうかと思っていたが、好意に甘えることにした。美味しいサンドイッチと紅茶を満喫。店には朝ごはんを求める人がちらほら。

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9時になり、魏さんたちと出掛ける。今日は市政府の農業局へ行くという。何だか緊張している魏さん。ところが運転手は市政府ではなく、真っ直ぐ茶畑へ行くものと思っており、違う道を進んでいた。かなり慌てる魏さん。3年前に訪れた農業局は市内中心部にあったが、既に郊外に移転しており、思ったよりも行くのに時間が掛かる。今や中国地方都市の政府庁舎は殆どが郊外に移転、そしてその豪華さを競っている。

 

その立派なビルに入っていく。意外とセキュリティーは緩い。大きな部屋で来客の応対をしていたのは、非常に恰幅の良い呉依殿さん。呉さんは何と福州市の元副市長であるが、同時にジャスミン茶研究の第一人者だとか。忙しい中、我々のために時間を取ってくれ、簡単に福州におけるジャスミン茶発展の歴史を披露してくれた。そしてもし疑問があればまずはこれを読んで、といって、分厚いジャスミン茶の本を渡される。その内容をパラパラと見ると、日本へのジャスミン茶輸出の歴史が書かれており、統計が載っていた。ただこの日本の中に沖縄がどう含まれるのかは分からず。しかしタイムアップで呉さんに聞くことはできなかった。1860年代の琉球は日本ではなく独立国だったろうな、清朝側からすれば。

 

呉さんたちと記念写真を撮っていると、大きな壺をお土産に渡される。『高級な茉莉花茶だ』と言われたのだが、あまりに大きいので持って帰ることはできないと判断。魏さんに全てあげてしまった。彼がすごく喜んだところを見ると、本当に上等なジャスミン茶だったのだろう。後日この件をFacebookにアップしたところ、『呉さんがわざわざ日本人に高級茶を飲ませようと託したお茶を持って帰って来ないとはけしからん』とお叱りを受けた。誠にもっともなご指摘であり、深く反省した。しかしすでに私のカバンに空きは全くなかった。

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ジャスミン茶の原料

市政府を離れ、いざ茶畑へ。今回は昨日訪問した満堂香の茶畑見学をさせてもらうことになっていた。ここではジャスミン茶の原料となる緑茶を生産しているとのこと。なお季節的には緑茶生産は4月までに既に終わっており、7月頃にジャスミンの花が咲くとそれを持ち込んで、お茶が作られると昨日聞いていた。

 

福州郊外、北峰という標高500-600mの小山を登っていく。しかし山の中のこと、目指す茶工場はなかなか見つからない。ようやく行き着いた場所は、かなりいい景色の茶畑。広大な敷地は園内でも迷うほど。鶏や鴨などが自由に飼われており、茶工場というよりは共同農場のような雰囲気だ。すごく立派な石の門の下を潜ると、何とか工場が見えてきた。凄い。

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この茶工場の責任者、黄さんの話を聞く。元々は国営工場であったが、80年代の改革開放により、農家が個別に茶業を行っていた。黄さんはその中でもこの地区でもっとも大きな規模で経営していたが、今はこの地区を纏めて、大手の満堂香の茶畑、茶工場として機能しているという。黄さんはこの地区のリーダー的な存在なのだろう。各地の農業大学、研究所と共同研究をするために、茶畑を管理するなど、かなり多角的な活動をしている。紅茶も作っていらしい。

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お茶を淹れてくれたが、極上の緑茶だった。『実はこのクラスの緑茶は、ジャスミン茶にせず、緑茶のまま販売してしまう。知っている人にしか分けないので知名度はないが、ファンはどんどん増えており、ジャスミン茶より高く売れるので、高級な緑茶作りに力が入っている』という。確かにこの緑茶、かなり爽やかで、しかも香りが高い。もしこれに高級ジャスミンの花を混ぜれば、かなりの高級ジャスミン茶が出来るだろうと思わせる代物だった。

 

肝心のジャスミン茶については『緑茶としては売らない物の中で高級な物を使い、この山の下の方で7月頃に咲く高級ジャスミンの花とこの緑茶を混ぜて作られる』という。今回は製茶作業を全く見ていないので、この部分の話は省くことにした。製造工程は複雑らしい。例の香片茶について聞いてみると『この辺では低級茶は作っていない』と一言。現在は高級なジャスミン茶ですら、人件費などコストの高騰と、製茶に時間が掛かり過ぎるとの理由から、作りたがらない農家が増えている。ましてや値段の安いお茶など、という雰囲気がありありだった。今の中国なら仕方ない反応だろう。香片茶は広西か四川で作られているらしい。

 

茶畑を見せてもらう。実に色々な種類の茶樹が植えられている。福州市政府、研究院などが、プロジェクトを実行していると表示されている。ここは研究所のような役割を持っているようだ。ここまで規模の大きな茶畑は他には無さそうだ。しかも各農家は個別の茶畑を持っている訳だから、ほぼこの辺りでジャスミン茶は作られている、といえそうだ。昼の時間となり、食事を勧められたが、辞退して急いで山を下りる。

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そして市内に戻り、魏さんの弟さんやスタッフと食事を共にした。何とも忙しい話だが、それが今の中国だろう。ただそのレストランの対応は実に、実にゆっくりで料理が出て来ずに、皆が呆れてしまった。中国のサービス業はどう見ても、中国発展のスピードには付いていけていない。まあ仕方がないか。

 

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