両岸三通の茶旅2015(3)台北 熱炒と青田七六

活気のある熱炒

夕飯の待ち合わせは大学の後輩Fさんと青木さんの店からはちょっと離れたシェラトンホテルで。Bさん、Sさんと一緒に地下鉄に乗っていく。何とか約束の7時半に間に合う。このシェラトンホテル、25年前の台北出張の時に何度か泊まったことがある。その時の名前はライライ(来来)シェラトン、その名前で憶えており、どうしてもそう呼んでしまう。最近の台北しか知らない人には『何ですか、その可愛い名前は』と何度も言われ、ちょっと寂しい。いつから名前が変わったのだろう。台北にも立派なホテルが随分たくさんできている。

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このホテルに比較的近い、長安東路沿いにある『熱炒』と呼ばれるビヤホールとレストランを合わせたような場所に行く。店はいくつもあるようだが、その1軒では店の前から熱気があふれだし、如何にもビヤホールのように騒がしい。既に酔っ払ったおじさんたちが大声で議論していたり、日本人駐在員が数人でビール飲んでいたり、若者達が乾杯の声を上げている。こんなところがあるんだ、最近は。いや、以前にも来たことはあったと思うが、こんなに活気があっただろうか。

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基本的に炒め物は1皿、100元前後のようだ。メニューはかなり豊富で選び甲斐がある。注文すると鶏肉、貝やエビなどの海鮮、卵焼き、スープなどがどんどん料理が運ばれてきて嬉しくなる。その場の雰囲気もあるのか、美味いウマイとバンバン食べてしまう。なるほどこれがミソか。水蓮と呼ばれるしゃきしゃきした野菜の炒め物が今日の一押し!日本にはないな、こんな野菜。

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ビールや飲み物は冷蔵庫から勝手に取って飲む方式だが、そこにはビールのキャンペーンガールが控えており、自社の製品を売り込むことに余念がない。台湾ビールが飲みたいのに、なぜかお姐さんに釣られて、外資系を飲む羽目に。いや、彼女に悪いので頼み辛いのである。そうなるとお姐さんの目を盗んで、冷蔵庫から台湾ビールを取り出したりと、その攻防戦もまた面白い。久しぶりに日本の雑多な居酒屋の風景なども思い出して、楽しかった。

 

帰りは歩いて、宿まで。台北駅前まで20分弱の道のりは、気候的にもよく、ちょうど良い散歩となる。台北は最近それほど車の渋滞もない。都心部は何となく静かに時が流れている。それは街が落ち着いたからだろうか、経済が低迷しているからだろうか?相変わらずさっぱり掴めない都市である。GW直前、宿には日本からやってきた人たちが集い始めている。

 

4月30日(金)

青田七六

翌朝はゆっくり起き上がる。部屋ではWi-Fiが繋がらないため、リビングへ行くが、まだ皆さん、起きて来ない。腹が減ったので外で朝飯を探す。フラフラ歩いていると馴染の店に出っくわす。やはり台北の朝は蛋餅と奶茶だろう、ということで、フラフラって入って食べる。蛋餅にはベーコンを入れてもらうのが一番美味い、と思う。こんなシンプルな食べ物なのに飽きないのは不思議だ。台湾、恐るべし!

 

それから宿に戻り、ネットに集中した。何しろこの後はGWの上、福建省の安渓に行くと、ネットなど全てが遮断されてしまうので、やるべきことはここでやっておかなければならない。宿では起き出してきた人々が次々に観光に出たり、次の旅に出発していく。その中で私は一人、取り残されていく。

 

昼前に地下鉄に乗り、東門駅で降りて、永康街へ。鼎泰豊、いつ来てもここは客が外まで溢れている。昔は小さな、だけど美味い店だったんだがな、などと昔を懐かしむ老人のようなことを思いながら通り過ぎる。そして今や高級住宅街となっている青田地区へ行く。実はここには何回も来ているが、青田七六と呼ばれる建物は外からチラッと見ただけだった。今日は北京時代の息子の留学仲間のIさんとここで会うことになっていたので、初めて中に入る。

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この建物は日本統治時代、台湾大学に農学関係の教授として赴任した足立仁という日本人が家主だった。当時日本から大勢の大学教授が海を渡ってきたから、その官舎の1つだったということだろう。戦後は馬廷英というやはり台湾大学教授で著名な地質学者が住んでいたという。馬廷英は奉天の生まれで、日本でも教育を受けており、なぜか中国に渡り、終戦で台湾にやってきた人物。日本との関係が深いことから、この家を選んだのかもしれない。

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この建物は台北市の古跡に指定されており、入館時には裸足は厳禁。中はかなりレトロな雰囲気が漂うレストランになっている。木の床を踏みしめていく。玄関近くの席に座ったため初めは分からなかったが、実はかなりの奥行きがあり、縁側や中庭もあり、立派な日本家屋だった。庭も含めて、沢山の人が食事をしていたのでビックリした。有名な観光スポットだったのだ。食事は何と日本料理。ランチの定食も結構いい値段がする。折角なので、南極氷魚定食というのを頼んでみたが、氷魚が何の魚なのか、よくわからなかった。

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Iさんから『結婚するんです』と報告を受ける。それほど普段接点のない若い女性からこんな話をされるとちょっと嬉しい。折角なので我が家の息子も台北での披露宴に招待してくれるという。いい機会かな、と思ったが、最終的には体調不良により欠席することになってしまった。残念。彼女は台湾人と結婚し、これからは彼の両親と同居するとか。色々と大変なこともあると思うが、実にいいことだ。

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