懐かしの安渓を再訪する2014(7)永定 一日土楼ツアーに参加して

5月8日(水)

5.土楼一日ツアー

今朝は6時に起床、初めて中国人観光客が乗る1日ツアーに参加して、永定の土楼を見に行くことにした。前々日、ホテルのデスクで予約をする際、『外国人でも参加できるが、携帯を持っていること、中国語が話せること』が条件になっていた。その理由は直ぐに分かった。前日夜、ガイドから携帯に電話があり、『明日7時15分にホテルに迎えに行くからロビーで待機するように』と連絡が入った。勿論全て中国語だった。

 

そして当日7時過ぎにロビーに降りると『もうすぐホテルに着く。ホテルの外へ出て待っていて』と言われ、5分もせずにミニバスがやってきた。乗り込むと『4190ね』と言われる。それは私の携帯番号の末尾4桁だった。まるで監獄の囚人のように番号で呼ばれて驚く。同時にきめ細かい連絡、時間に正確な対応にも驚く。

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それから市内のいくつかのホテルを回り参加者を集める。中には時間になっても出て来ない参加者もおり、ガイドが厳しく携帯で咎める場面も。時間にルーズな中国人、徹底的に時間管理をしていた。

 

ミニバスは郊外へ出ると、ある広場の前で停まる。そこには多くの人が既に集まっており、ここが最終集合場所と分かる。ここで行先別に大型バスに乗り換える。永定行きのバスの車両番号が渡され、そこに乗り込む。この日は3台の永定行きが出た模様だ。ここまで実にシステマティック。

 

バスに乗ると先ずガイドから『今座った座席が今日一日のあなたの座席。決して場所を移らないように』と言い渡される。席で揉めるケースもあるようで、事前防止策も出来ている。またバス内でグルーピングがされる。と言っても家族単位。私のような一人旅は殆どいないので、私は一人でも『第9家族』と呼ばれた。周囲は中国全土から来た観光客と出張のついでに観光しているおじさん達。2人から5人の家族単位となっていた。この家族で、バスの乗り遅れなどを防止しているようだ。

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何とバスは昨日行った漳州への道を辿る。これなら昨日戻らなくてもよかったな、と思ったがあとの祭り。1時間ほど乗っているとなぜか検問に引っかかり、停車を命ぜられる。運転手は困った顔をしていたので、一時はどうなるかと思うほど緊迫したが、結局会社に電話したのか、何とか解放され前に進めた。

 

それから30分ほど行くとトイレ休憩があった。ここには大量の土産物が売られており、まだ観光もしていないのに、乗客が物色を始める。そして幹に付いたバナナをもぎ、皆食べ始める。中国人観光客は朝9でも10時でも、手軽に食べられるものがあれば食べるのだ。これは面白い。

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そして11時半頃、土楼に到着した。先ずは観光ではなくランチ、というのも中国らしい。土楼近くの指定レストラン。中は大きなスペースがあり、団体専門という感じ。座るとすぐに大きなボールでご飯が運ばれ、おかずが次々に出て来る。ガイドはテーブルごとに人数をきちんと数え、公平性を保つ。もし人数が多いようならおかずの皿を増やすよう指示する。中国人のクレームはまず食事に出る、この鉄則をきちんと理解して細心の注意を払っていた。食事内容は正直美味しいとは言えないが、腹は膨れた。これが最低線だろう。因みに今回のツアー参加代金は138元。これに土楼入場券、バス代、ガイド代、食事代も含まれているので、この食事の単価は一体いくらなんだろう。

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食事が終わるとすぐに土楼見学へ。ここでは専門のガイドが登場し、1時間ほどガイドしてくれる。写真では見ていたが、古い物は1700年頃たてられているはずだが、この土楼はかなりきれいになっていた。世界遺産でもあるし、一大観光地。正直それほどいいとは感じなかった。中に入ると土産物屋が並ぶ。2階以上に上がるのは禁止されているが、写真屋さんは盛んに上で写真を撮ろうと誘う。この辺も商売になっていて嫌らしい。1時間後、ガイドさんは馴染のお茶屋に入り、休息と称してお茶を売り始める。ここで実質解散となり、後の1時間半は自由行動、要は買い物時間となる。

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買い物をしない私は、ガイドが回らなかった裏側などを歩いて楽しむ。人がいない所には、何となくいい雰囲気が漂う。お客のいない土産物屋には怠惰な雰囲気が流れ、いい。世界遺産となった今、ここに住む人は殆どいないのだろう。ここは生活の場ではなく、仕事場になっている。客家の人々がなぜこのような物を作り、このような場所で暮らしていたのか、それを慮る観光客は殆どいないように見える。写真を撮る、それが中国観光のメインであり、門切り型の説明を覚えて、自分の街に帰って自慢する、それでいいのか、中国。

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1時間半の休息は長かったが、バスに戻った乗客は口々に買い物の戦利品の話で盛り上がる。このお茶はいくらで買ったとか、値切ったとか。果物や菓子などを頬張りながら、満足げにバスに乗り込む。それでも出発時間に遅れた家族はいなかった。今の中国の時間管理、概念、昔とは隔世の感がある。帰りにまた休憩所に寄ると、また買い物している。信じられないバイタリティで最後まで頑張る。そして食べる。中国人団体観光はこれに尽きる。厦門市内に戻り、大型バスを降り、ホテルへ帰ろうとしたが、どのバスがホテルへ行くのか良く分からない。何とかバスを探してようやく長い一日が終わった。

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それでも夕飯が食べたくなり、古い街並みへ出た。ご飯をよそい、おかずは取り放題、という店に入る。スープも自分でよそう。これで10元、中国はまだまだ安いということか、それとも安全に大いに問題があるということか。

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5月9日(木)

雨の中を空港へ

本日は朝8時の飛行機で香港へ向かい、そして午後の便でそのまま羽田へ向かう。厦門の空港は遠くないが、朝早いのでちょっと心配していた。前日ホテルに聞くとタクシーは朝5時台でも走っているし、ホテルスタッフが拾うのを手伝う、というので安心して寝た。ところが朝5時半にチェックアウトすると外は雨。フロントにタクシーを呼んでと頼むと『こんな時間にタクシーを呼んでも来ない』と言われて慌てる。

 

ここで口論などしていても意味はない。雨の中傘を差して大きな荷物を抱えて大通りへ飛び出す。だが大通りでさえ、車は殆ど走っていなかった。さて、どうしたものだろうか?この辺が中国の危機管理、ホテルへ戻って思いっきりクレームして探させるか、などと考えていると、なぜか1台タクシーがフラフラとやってきた。難なく空港まで行く。

 

空港には何と6時前に着いてしまった。ホテルからわずか10分ちょっとか。そして国際線のチェックインカウンターに入ろうとすると、そのゲートは閉まっており、数人の人が並んでいた。6時になるとゲートが空き、皆ドラゴン航空のカウンターへ進んだ。今回もこの空港ではなぜかWebチェックインができず、座席の指定も出来なかった。カウンターで何とか通路側を確保した。ドラゴン航空は手荷物にも厳しい。今回は大きなスーツケースを既に預けており、更に手荷物としてバッグを引いていた。もしダメと言われると面倒だったが、何とか見逃された。LCCではないのだから当然か。雨の降る中、飛行機は定刻に厦門を離れた。

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因みに香港の空港で羽田行のANAに乗り継いだが、ANAの乗り継ぎカウンターの場所が分かり難く、かなり探した。まあフライトまで5時間もあったので問題はなかったが、カウンターではちゃんとチェックインができたし、更に1個の荷物を預けることも出来た。そして飛行機に乗り込むと離陸する前から音楽でも映画でも楽しめた。ANAは確実にLCCとの差別化を図っていた。快適なフライトで久しぶりに日本へ帰った。

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