ある日の台北日記2024その1(5)木柵のベトナム華人

それから迪化街をフラフラする。王福記で3代目と目が合ったので、三峡緑茶を購入する。更に南下して、これまで踏み込んだことがなかった大稲埕の辜家邸宅を見に行く。まさかこんな狭い路地を通っていくとは思わず、以前はそこの角の空き地がそうだと思い込んでいたが、大正時代の立派な建物がちゃんと残っているとは、驚きだった。でもここも李家の敷地のはず。一体どういう経緯で辜家に土地が渡ったのだろうか。

昨年も訪ねて話を聞いた王瑞珍に寄ってみる。先日お知り合いが私の話を聞いてお茶を買いに行ったと聞いたのだが、やはり私のことは何となくしか覚えていなかった。それでも話し始めると止まらなくなり、常連さんは逃げ出していく。『初恋』という名のお茶が気になり買ってみる。ここも後を継ぐ人がいないようで、ちょっと心配だ。いや、その前に仕入れている茶農家が高齢化しており、心配だと言われてしまう。その先にある陳天来故居は、市政府により修復作業中のようで、展示館が出来ることが期待される。

4月10日(水)木柵のベトナム料理

今日は昨年ある方の宴会で知り合ったUさんを訪ねて木柵へ向かう。Uさんは台湾生活30年弱で、華語より台湾語を主に生活しており、料理についても詳しいので、お話を聞いてみることにした。MRTで木柵方面へ向かい、バスに乗り換えようとしたところ、急に雨が降り出し、難儀する。それでも何とか待ち合わせ場所まで辿り着く。木柵といっても広いことが良く分かる。

この辺には50年ほど前、ベトナム戦争から逃れて台湾に渡ったベトナム華人が多く住んでいるらしい。そしてその人々が開いた食堂がいくつか残っているという。その一軒に入ろうとしたが閉まっており、雨も小降りだったので、かなり歩いて別のところへ行く。閉まっていた店は大きな看板で越南の文字があったが、ここは小さく書かれていた。

メニューを見ると、越南と広式の2つがある。ベトナムで見かける広東系の食べ物があるということだろうか。広式撈麺と越南カレーを食べてみる。撈麺は確かに以前香港で食べたあの懐かしい味がした。カレーはなぜベトナムにあるのか不明らしいが、Uさんによれば、台湾にあるベトナム系食堂には基本的にあるというから驚きだ。

食後また散歩すると、50年前にベトナムから来た人々を受け入れた住宅が現れる。もうかなり建て替えが進み、高層マンションに変わったものもあるという。日本では何となくボートピープルのイメージが強いが、彼らは何らかのコネを持ち、飛行機で台湾へやってきたとも聞く。当初の生活は大変だったようだが、今はどうなんだろうか。Uさんから、実に色々な話を聞き、勉強になる。これまで台湾には何十回も来ているが、こういう話に出くわしたことはない。台湾、奥が深い。

バスに乗り、MRT駅まで戻ったところでまた腹が減り、羊肉麺を食べてみる。特に麵に特徴はないが、これはこれで美味しい。テレビでは馬英九が訪中して、習近平と会談したと伝えている。台湾は思った以上に混沌とした世界であり、理解するのはかなり難しいと感じながら麺を啜る。

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