懐かしの安渓を再訪する2014(4)安渓 1年で変化する村

5月5日(月)

雨の散歩

昨晩から雨は降り続いていた。張さんは朝になっても帰ってこない。朝飯は粥。奥さんが裏の畑で自ら作った立派なキャベツを採ってきて炒める。この組み合わせ、絶妙。台湾でもキャベツが美味いが、ここでも美味い。やはり何か繋がりがあるのだろう。

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小雨になったので、散歩に出る。村外れまで来ると後ろからバイクの音がした。張さんの長男が後ろに嫁さんを乗せていた。彼女は昨年泉州に出稼ぎに行っているということで、今回初めて会った。昨年は母親のいない息子が父親に反抗して大変そうだったが、今年は既に村を出てしまったという。この嫁さん、帰っては来たが、長男の機械による茶作りを手伝うことはしていない。今日も村外れにできた茶工場に出勤するところだった。この茶工場、何のために出来たのか良く分からない。それでも彼女は『家の近くで給料も悪くない』ということで、働きに出ている。この動きは今の中国の農村を端的に表しているように思う。『出稼ぎの場所は近くなっていくが、決して農業には戻らない』

 

お寺があった。最近改修工事をしたようで、きれいになっている。寄進した人の名前がずらりと列挙されている。何とその中に知り合いの日本人の名前を見つけて驚く。確かに彼はお茶の関係者で、かつ鉄観音再生の活動をしている。それにしても彼の活動場所はこの近くなのだろうか。鉄観音の将来に危機意識を持つ者はかなりいる筈だ。

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雨が強くなってきたので、家に戻る。高さん息子が手持無沙汰にしていた。既に張さんの手伝いも終わり、枝とりの仕事にも飽きている。2人で1階へ茶葉を持って行き、飲む。あー、ウマイ。今年は何だか出来がいいのではないだろうか。高さん達も枝とりの手を休めて飲む。普段はなかなか飲む機会がないようだ。それほど貴重で大切にしているお茶。

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昼ごはん、今回初めて白いご飯が出た。これまでは粥か麺、芋などだったので白米好きとしてたまに食べると喜ぶ。おかずはキャベツ炒めなど。何だか今まで以上に食が進む。粥や麺は消化に良く、体にはよいと分かっているが、習慣というのは恐ろしい。

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水のないダム

午後は張さん次女の旦那が車でやってきた。私が暇だろうと気遣い、ドライブに誘ってくれた。近くの山道を登ると、そこには池があったが、水はほとんどなかった。ここはダムだという。今日は雨だが、最近降水量が減っていたのだと。逆に午前中に行った寺の付近では、滝のように水が落ちている場所もある。地形が難しいようだ。

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また張さんのお茶を購入するにあたり、パッキングを依頼するところを探す。農家では50gずつきれいにパッキングなどはしないので、専門のパッキングする場所へ行く。茶農家でも最近はパッキングを専門にしているところも出てきている。そこへ持ち込む。2度ほど50gずつ包んで、と念を押す。昨年は量がバラバラのお茶を持ち帰って困ったので、今回は安堵する。

 

夕方張さんが戻ってきた。ついに製茶は終了したらしい。張さんの春は終わった。早々自分の部屋で寝込む。疲れただろう。この3日ほどろくに寝ていない筈だ。神経を尖らせ、茶作りに精を出した結果、今年の出来は良い。張さんも上機嫌だった。夕飯にはウマイ芋が出た。きっと張さんの好物に違いない。

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食後、張さんがお茶を淹れてくれた。鉄観音だけではなく、本山と呼ばれるお茶も飲む。これがまた美味しい。これは1週間前に作ったものだが、今年は特に出来がよく、鉄観音に引けを取らない、と張さんは胸を張る。我々はブランドで物を見がちだが、お茶に関しては作る時の環境などでその味に大きな変化が出る。

 

鉄観音の出来もよかったという。理由を聞くと『昨日大量の茶葉が供給され、作業が少しずつ遅れた。その遅れが良かったのだ』とか。何たる微妙、何が幸いするか分からない。作業量が多過ぎて、面倒見切れなかった分、いいお茶が出来るなんて、ちょっと考え付かない。だがそれが現実であり、我々の前にそのお茶が存在している。

 

テレビでは卓球の世界選手権が放映されていた。東京で開催されていうようだ。女子の決勝は日本対中国、皆是非見ようと期待を込めていたが、パッキングを頼んだ茶を取りに行った。何とあれだけ念を押したが50gではなく100gパックになっていた。やはり農家は農家、致し方ない。

 

卓球を見ようと戻ると、張さんは中国ドラマにあっさり切り替えていた。皆がっかりした。まあ、中国が勝つとは思っていたが、石川佳純の試合は見たかった。恐らく張さんは私に気を使ったと思われる。周囲は皆中国人、中国チームの応援するに違いない。その時私が嫌な思いをすると考えたようだ。有難い話だ。

 

5月6日(月)

分かれ

あっという間に3日が過ぎ、厦門に戻る日がやって来てしまった。今日曇りで雨はない。健康的な朝ごはんを頂き、張さんの茶を飲みながらちょっと話し、時間は直ぐに過ぎて行った。出発前にまた腹ごしらえ、として、ビーフンを食べた。美味い。

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次女の旦那が車で送りに来てくれた。前回はバスが家の前まで来たが、そのシステムが変わってきたらしい。もうすぐバスの本数も増えるとか。1年でも色々と変わってきている。車に乗り、3分でバス乗り場へ。呆気なく皆と別れた。

 

バスは中型で、すでに何人か乗り込んでいた。時間通りに出発し、この大坪の地を離れた。何とも寂しい限りだが、心地よい揺れにいつしか寝入ってしまった。1時間ちょっとで同安という下の街につき、バスを降りた。

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