静岡から愛知へ2019(1)ホッとする農家民宿

《静岡・愛知茶旅2019》  2019年2月1日-4日

1月の台湾生活から戻ったが、旧正月で行くところがない。それでは日本国内を回ろうということで、名古屋のセミナーに呼ばれた。折角名古屋まで行くなら、静岡に寄ろうと思い立ち、農家民宿をされているNさんの所に泊まることになった。更には名古屋の後、初めて犬山市にも向かう。ご縁はずっと続いていく。

 

2月1日(金)
農家民宿へ

台北から戻って僅か2日だったので、今日は朝ゆっくりと出発した。日本は冬だし、無理は禁物。今回は在来線で静岡を目指す。やはり時間がある時は、苦手な新幹線は避けるべし。小田急藤沢経由を計画したが、乗り継ぎに失敗し?いつもの小田原経由となる。スイカが使えないので切符を買うなど、久しぶりのルーティン。箱根駅伝グッズを見ていると、外国人観光客が相談窓口周辺にたむろしている。

 

小田原かJRに乗ると、今日は本当に天気が良くて、海が輝いている。熱海で乗り換えてまた進むと、富士川を渡る頃、おっきな富士山が目の前に現れた。あまりの見事さに心を奪われている内に、写真を撮り損ねた。新幹線では遠くに見える富士山が、在来線ではなぜこんなに大きいのだろうか。

 

午後3時前にJR興津駅に到着。そこにNさんが待っていてくれた。興津といえば、東海道17番目の宿場町。以前一度降りたことがある。茶のゆかりの寺があったはずだと言うと、早速車で連れて行ってくれる。清見寺、ここの特徴は何と言っても、山門と本堂の敷地の間に東海道本線が通っていることだろう。

 

この寺に鎌倉初期、聖一国師が立ち寄り、茶の種が伝えられたと聞いたことがある。ただ境内にはそのような雰囲気も、表示も何もない。あるのは見事な古い五百羅漢などである。ここでお茶会が開かれることがあると言うが、静岡茶の祖だと言われる聖一国師の由来があるのであれば、もう少し宣伝するだろうと勝手に思う。

 

むしろ興味深いのは、大正天皇が皇太子時代にここで静養し、海水浴などをしたという話。その時食べられたのが、宮様まんじゅうとして残っているという。それにしても大正天皇とは一体どんな人物だったのだろうか。天皇が退位する今年、ちょっと知りたいテーマの一つではある。

 

車は旧東海道を走っていく。街角には、古い道しるべや石碑が残っていた。色々なところにあったものを、一か所に集約したのだとか。身延山へ、という表示から、ここから山梨方面を行く旅人がいたことも分かる。『この辺には見るものは何もない』と言いながら、車はその身延山方面に向かって走っていく。

 

途中で高台に上がる。小島陣屋跡、と書かれた場所がある。江戸時代陣屋があった場所、明治維新後は小学校になり、私有地として所有され、下の方の大部分は戦後分譲されたらしい。石垣が残っており、陣屋があったことは何となく分かる。ここには昭和30年以降、かなりの茶畑があったとのことだが、残念ながらかなり前から茶業は衰退し、放棄地が増加していた。

 

10年ほど前に、その放棄地が陣屋跡として、国から指定を受けて、活用されることになった。だが本日現在、若干の茶樹以外はほぼ更地で、陣屋跡の看板だけが建っている。史跡指定を受けて10年も経つのに、再建される訳でもなく、何かに活用される訳でもない。何故だろうか。それにしても陣屋が茶畑になり、また陣屋に戻される、何だか面白い展開ではある。

 

興津駅から10㎞近く進んだところに、小河内という地区があり、車は小道に入って停まる。そこには『有機農法の宿 ぬくもり園』と書かれている。庭には古い建物があり、その横には茶畑がのぞく。とても雰囲気があり、ちょっとテンションが上がる。宿泊場所は、Nさんのおうち、本当に民宿だ。元々は土間になっていた玄関、敷居が高い。その横に広い部屋が2つ、今日はお客さんがいないので、この部屋を占拠する。

 

暗くなる前に周囲の茶畑を散策。家の裏から山沿いに広がる。こういう光景に憧れるお茶好きは多いだろう。近くには小学校があり、下ると川もある。畳の部屋に戻って、お茶を淹れる。涼しくなってきたので、石油ストーブに火が点く。何とも懐かしい生活が始まる。猫がこちらをチラチラ見ている。お風呂に入る。お茶風呂、本当に淹れたお茶が湯船に入っている。体が相当に暖まる。

 

夕飯はNさんと二人で食べた。何だか実家に帰ってきたような気分になる。もう長いこと味わっていなかった感覚だ。猫も慣れてきて、おこぼれを狙いながら、膝の上を占拠する。暖かな夕飯となる。静かな環境で、お腹が一杯になると、かなり眠気に誘われる。今日はサッカーアジアカップ決勝があるはずだが、そんなことにはお構いなく、早々に布団を敷いて寝てしまう。

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