スリランカ お坊さんと行く紅茶畑の旅2012(7)キャンディ 廃止された茶工場

6.キャンディ2   買い物

キャンディの街に近づく。実に5時間ほどランチも取らずに車に乗っている。City Foodと書かれたスーパーの前で車を停め、パンやバターを買い込む。これが意外と高い。聞けば、輸入品を扱うスーパーだとか。最近このようなスーパーが出来てとても便利だとスマは言う。続いてパン屋というかケーキ屋の前に停まる。今度はこれから食べるカレーパンと食後のケーキを買う。一番甘くないケーキを頼むと「ネスカフェ」と書かれたコーヒーケーキが出て来た。ここで売っている飲み物はネスカフェのコーヒーかネスタというミルクティ。

それから運転手が市場へ走る。今日のおかずを買う、といった感じで、ニンジン、トマト、オクラ、ネギなどを買いこむ。袋一杯買っても300円ぐらいか。日本ならキャベツ1個しか買えない。雨が降っており、商人たちも早く店仕舞いしたかったらく、叩き売ったのかもしれない。そして最後にフルーツを買う。アボガドなどが選ばれる。バナナが食べたかったが、スマは店の人の勧めを断っていたので、きっと良いのが無かったのだろうと諦める。

僧院で和む

ようやくスマの僧院へ辿り着く。6時間ぐらい掛かっただろうか。3日前に泊まった部屋へ入れてもらい、その前の椅子に腰掛けて和む。雨は降り続いており、涼しい。何もすることが無く、紅茶を飲みながらさっきのパンとケーキを頂く。実にゆっくりと時間が流れていく。スマのPCでメールをチェックしたがあまり見るべきものもない。もうネットに縛られる感じはない。お寺にはお寺の過ごし方がある。日本のように規則に縛られるのではなく、自分で自分を解放するのだ。そんな気分となる。

お湯の準備が出来たという。3日前と同じ、お湯と水を適当に混ぜて湯を使うのだ。これがまた良い。無暗に湯を使うのではなく、一定の分量を丁寧に使う。勿論寺の人々は水シャワーだろう。私の為に湯を用意してくれことに感謝が必要だ。そういう気持ちで体を洗うと実にスッキリした。気持ちの問題は大きい。

先程買ってきた野菜を使った食事が出た。恐らくは私の為に作られた物で、スマは私に付き合っているのだろう。オクラの煮つけ、ニンジンと玉ねぎの和え物、卵料理が出たが、ご飯にかけて食べるとどれも美味しい。

10歳で寺に入ると先ず先に教えられるのが、料理だという。ミャンマーなどでは托鉢が残っているが、ここスリランカには既にこの習慣はない。自らの食事は自ら用意できるように修行する。

スマの考え方なのか、スリランカにはそのような所が多いのか、食べ物にはあまりこだわらない。正直野菜を買っても肉を買っても、同じという考え方だ。自分で殺して肉を食べることは許されないが、提供される物は食べてもよいという。また僧侶の食事時間も午前中のみの所が多いが、ここではいつ食べてもよいという。非常に合理的だと思うのだが、どうだろうか。

11月12日(月)  朝の茶畑散歩

前夜はかなり激しい雨が降った。気温も予想以上に下がり、肌寒い感じがした。だが、朝若い坊さんたちの元気な声で目覚めると、いい天気になっていた。6時半にはローティの朝食を食べた。紅茶に合う食べ物だ。散歩に出た。学校の所をキャンディに行く方向と反対に下ってみた。特に意味もなく歩く。すると直ぐに道の脇に茶畑が出現した。そして釣られるように脇道に入ると高い方も低い方も一面茶畑となった。朝日を浴びていい感じだ。

茶樹の垣根があったので沿って降りていくと、そこは民家だった。お婆さんが供え物だろうか、白い花を摘んでいた。この雰囲気が実にいい。言葉は全く通じなかったが、笑顔で挨拶した。

それからずーっと歩いて見た。30分も歩くと、Lily Valley Estateと書かれた看板が見える。横に小さな小さな郵便局があり、聞いてみると「茶工場はない」とのこと。仕方なく引き返す。すると後ろから五羊ホンダのバイクに乗ったオジサンが話し掛けて来た。「茶工場は30年前に無くなった。ここは数十エーカーの小さな茶畑。立ち行かなくなり、茶葉は8㎞先の工場へ運んで茶を作っている」と説明してくれた。スリランカ人の英語は実に分かり易い。同じことをインドで言われても恐らく分からないだろう。

そして驚いたことには彼、サラは私が世話になっているスマの寺、モラゴダの檀家。母親は寺の長老と兄弟だというから、長老の甥にあたる。ちょっと話していると色々と繋がるので田舎は面白い。

また歩いているとトゥクトゥクが通り過ぎる。この道は狭いがバスも通っている。スリランカのバスは実に発達していると感心する。トゥクトゥクから顔を出した若者が手招きした。乗れという。何となくその行為が好ましくて乗り込む。奥さんと可愛い小さな娘さんが乗っていた。分かれ道の所で降ろしてくれ、バスに乗るならこっちだと教えてくれた。何とも親切な人々で一度でここが好きになる。

キャンディティー工場

9時半に寺を出て、先日行けなかったキャンディの茶博物館を目指す。どこへ行っても茶の歴史なら博物館へ行け、と言われるので、どうしても行きたかったのだ。ところが1時間掛けてようやくたどり着くと、雰囲気がおかしい。誰もいない。「Monday Close」無情にもまた拒否されてしまった。しかも明日も祝日で休みだという。果たして最終的に行けるのだろうか。

次の目的地は茶工場。既にいくつも工場を訪ねているが、キャンディは初めてなので、出掛けてみる。キャンディ市内からコロンボの方向へ15㎞ほど行ったところに、Geragama茶園の工場はあった。1903年創立と書かれた看板が誇らしげだ。

正面入り口から上へ上がると、ティールームと販売所があった。「茶工場の見学は必要ないので、歴史だけ教えて欲しい」と願い出ると、担当の女性は話し始めたが、工場見学者が待っていると言って、出て行ってしまった。その合間にお茶が振舞われたが、少し渋みが感じられたが飲み易いキャンディティーだった。

ジェームス・テーラーの顔写真が飾られていた。立派なひげを生やした紳士は1865年にここキャンディのLoolekandura Estateの29エーカーの土地に茶樹を植えたとある。「セイロン茶の父」とも書かれていた。イギリス人によって1903年に創立されたこの工場でも当然テーラーが植えた茶樹の葉が使われているという。だがそれ以上の情報は得られなかった。

ランチ

昼時となり、キャンディ市内へ戻る。ところがかなりの渋滞に遭遇。道が狭いこともあるが、スリランカでは地方都市と言えども車が急速に増加している。ようやく市内へ着くと、今度は駐車場探し。駐車場の建物には入ったが、スペースがなかなか見付からない。車社会への対応に迫られている様子がよく分かった。

ランチはこぎれいなレストランへ入る。何となくインドと似た雰囲気がした。マネージャーが席を振り分け、テーブルごとに担当のボーイがいる。プライドだけ高そうな人々が働いているように見えて、リラックスできない。チャウメンを頼んでみたが、それほど美味しくはなかった。欧米人観光客が数組居たのを見て、きれいなだけのレストランとの印象を持つ。

その後、ネットカフェへ向かう。先日満員で入れなかったので念の為、試してみたくなった。今日は何とか席が確保できた。ネットスピードは結構速く、スムーズだった。10分20ルピー。Facebookにもすぐに繋がった。

バスやトゥクトゥクが交錯する道を歩いて、駐車場に戻る。午後2時過ぎには車の数が結構減っていた。ランチタイムが特に混んでいることが分かる。




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