スリランカ お坊さんと行く紅茶畑の旅2012(2)キャンディ 古都を歩く

11月8日(木)  朝

殆ど眠れない状態で朝を迎えた。スマは5時には起きて瞑想等の行をするという。私は6時半に起きて、支度をする。階下でスマが朝食の用意をしていた。トースターでパンを焼いてくれた。お坊さんを使ってしまってよいのだろうか。フルーツも用意され、結構食べてしまう。

食後スマは率先して皿を洗う。お寺ではそうしているのだろう。その動作が実に機敏。私も反省して自分の使った皿を洗う。その後、この家の周りを散歩してみる。結構立派な家もあり、別荘地帯にも見える。少し行くと村外れとなり、田んぼが広がる。鳥が囀り、いい雰囲気である。

8時に出発し、先ずはこの家の大家に鍵を返しに行く。大家はスマの同僚だというのだが。実はスマは寺に所属する傍ら、コロンボ郊外のパーリ大学で教えていた。その大学の関係者らしい。この村から少し離れた所に彼女の家があった。こちらもそこそこの大きさがある家だったが、近々我々が泊まった方の家に引っ越すらしい。スリランカにもお金のある人が意外といるものだ。

3. キャンディ    ピンナラワの象の孤児園

キャンディに向かう。キャンディは仏教の聖地であり、最後の王国の首都であり、そしてスマの寺のある場所だと聞く。車はフォルクスワーゲン。日本車がかなりを占めるスリランカでは珍しい車だ。コロンボ郊外の大学へ通うスマの為に大学が提供しているようだ。コロンボ⇒キャンディ間は約100㎞。だが、道はカーブが多い片道一車線。バスもトラックも走るのでかなりの時間が掛かる。中国のような訳にはいかない。しかも途中で幹線を外れた。

ピンナラワという所に象の動物園があり、そこが面白いので連れて行くという。動物園と聞いてタイの象動物園を思い出す。象の上に乗ったり、餌をやったり。それは面白いだろうか。ところがここは孤児園だった。病気などで親を失った象を引き取り、育てているのだという。勿論国の施設だ。ただ外国人料金は高過ぎた。2000ルピー(日本円約1200円)と言えば、簡単なゲストハウスに泊まれる料金。スリランカ人は不要のようだから、観光客目当ての政策だ。インドと似ている。

象は100頭以上いるという。確かに広い敷地には沢山の象がいた。寝ころんでじゃれ合って遊んでいたり、かなり自由だ。スタッフが象と一緒に写真を撮ってあげるというので撮ってもらうとチップをくれという。国の施設なのにと思うが、国の施設だからとも思う。生まれたばかりの象も2頭いた。こんなに小さいのかと思うほど小さく、直ぐに大きくなるのだろうかと心配するほどのサイズだ。観光客にも一番人気。

メインイベントは100頭以上の象が、一斉に水浴び場に向かって歩いて行くところ。何と園を飛び出し、道路を渡り、のしのしと歩いて行く。このパフォーマンスを見るために時間を合わせて来ている観光客も多いようだ。

ランチ

キャンディの市内近くに来たところで、ランチを取るという。かなり立派なレストランに入る。まだ11時で誰もいない。スマは僧侶だから、食事は午前中に取るのだろうか。ビュッフェ形式、チキンカレーやチャーハンなどが並ぶ。野菜の煮込みなども含めて一通り取って食べてみる。味は悪くない。

周囲に客が増えてきたが、いずれも観光客。中国人の団体が相変わらずの大声で騒ぎながら、料理を取り、食事を始める。韓国人の団体もやって来た。出張者と思われる日本人も2人で食事をしている。そういえば、昨晩の飛行機では、前の席に日本人出張者が乗っていたのを思い出す。確かキャンディの近くへ行くと言っていたが、違う人だった。

この国では僧侶は尊敬されているのか、お客が増えて来ると、デザートは自動的にボーイが運んできた。フルーツは美味しかったが、ケーキは余りにも甘すぎて食べ切れない。先日のトルコを思い出し、苦笑する。恐らくスマはこのような場所で食事をすることはないだろう。私の為に態々やって来たようだ。感謝。

ペーラーデニヤ植物園と大学

街から少し離れた大学へ行った。大学と言っても相当の敷地に緑が溢れ、まるで植物園のよう。駐車場に車を停めると一人の若い坊さんがやって来た。スマの寺の若者で、この大学で勉強しているという。彼が大学内を案内してくれということでスマは去っていった。

スリランカ最古の大学で一番入るのが難しい大学。彼の説明では入試で満点を取った者だけが入学できるほど、厳しいという。大学の建物も由緒正しく、古い。図書館には相当の蔵書があるようだが、事前の許可が無ければ部外者は立ち入れない。

それにしても本当に恵まれたキャンパスで、大きな木の下で学生達が楽しそうのおしゃべりしている。木の下のベンチにはカップルが並び、恋愛も盛んなようだ。気が付くことは女子学生が非常に多いこと。70%以上が女子ではないかと思われる。内戦の影響で男が多く死んだから、と言われ、戦いがつい最近まであったことを初めて認識した。これが今後のスリランカの大きな問題なのだと知らされる。

横には大きな川も流れており、別のキャンパスには橋を渡って行く。本当に広い。橋にはサルが何匹もいて、愛嬌をふりまく。

隣と言ってもかなり離れているが、同じ名前の植物園へ行く。ここは1867年、イギリス人が中国から茶樹を持ち込んだ場所と言われ、来てみたが、当然茶樹などはない。これはカルカッタの植物園と同じパターンだ。

ここもかなり広い。迷子になりそうな大きさだ。ガイドブックには全て歩くとまる一日掛かるとある。1821年に出来たというから古い。しかもそれまでは王妃の庭園だったか。確かに相当に古い木が多数見られる。

日本庭園と言う名の庭もあったが、雰囲気は少し違う。オーキットガーデンは素晴らしい蘭の花が何種類も咲いて、良かった。こんな感じで一つ一つ見ていくと確かに相当の時間を要するのは間違いない。ここもデートスポットなのか、カップルが多い。

仏歯寺

キャンディ市内には大きな湖がある。ここが中心だ。そしてその横にあるのが仏歯寺。キャンディでは兎に角ここだけは行け、という聖地である。ブッダの葬儀の際に持ち出された歯はスリランカへ持ち込まれ、歴代王朝はこの仏歯を主権者の象徴とし、都の証とした。そのため歯は転々としたが、最後の王朝があったキャンディに落ち着いているという。

寺へ入るとスリランカの伝説の人物や初代首相セナナヤーケの像など様々な歴史が見える。そして寺はかなり新しく見えたが、2009年にテロ事件で破壊され、修復されたと聞く。仏教の聖地が異教徒の攻撃に遭う、どんなことだったのだろうか。ちょうど内戦が終結した時期であったので、残念な話だ。

靴を預けて中へ。本堂の前には沢山の信者が何をするでもなく座っていた。こんな光景は良い。木造の本堂の周囲を回り、2階へ上がる。薄暗い中に所々光がさし、良い雰囲気だ。残念ながら仏の歯を見る機会は殆どないとのことだが、それはそれでよい。毎年1度、ペラヘラ祭りという盛大な行事で仏歯を入れた箱を乗せた象が市内を練り歩くという。約2週間の行事だというから相当大掛かりだ。

寺の前にはクイーンズホテルという由緒正しそうなホテルが建っている。この周辺は外国人も多く見られる。私のPCが使えるかどうか試すためにインターネットカフェに立ち寄る。PC接続は可能とのことだったが、何と満員で席が無い。諦めて次回を期す。スリランカでも携帯とネットは今や必需品。毎月5000ルピーの通信費を使っている若者も多いという。

更にショッピングセンターを覗く。ジョルダーノなどの若者向けファッションが入居。スーパーマーケットに銀行もあり、お客はあまりいないが、少しずつ消費喚起が行われていることが分かる。このような最新のショッピングセンターがキャンディにあることも驚くが、恐らくはそれが中東のイスラム資本による進出だと行くともっと驚く。




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