デリー・リシュケシュサバイバル (5)アグラ 初めてタージマハールを見る

(10)  デリーへ 車の旅

午後早く、アシュラムを離れる。行きは列車だったが、帰りはA師等と別れ、S氏ご親族一行に便乗し、共に車でデリーを目指す。車はなかなか快適なのだが、何しろ走る道は一般道。道はでこぼこ、対向車は来る、人は横切る、牛も居座るでは、なかなか進まない。屋根に載せた私の荷物は大丈夫だろうか、と心配になる。覚悟はしていたものの、そう簡単に前に行かない。これもまたインドだろう。それにしても聖地への道なのだから整備してもよさそうに思うが、聖地だから簡単には行けないのだろうか。

途中でトイレ休憩する。トイレ探しも一苦労なのかもしれない。そんなにきれいなトイレは見付からない。周囲では色鮮やかな野菜やフルーツを売っている。本当に普通の田舎なのだ。かなり夕陽が西に傾いた頃、きれいなドライブインがあり、本格的に休息した。チャイを飲み、スナックを食べる。車の狭い空間から解放されるとそれだけでうれしい。インドで日差しと言えば灼熱を想像するが、この寒さの中、陽が当たるのもうれしい。段々車に飽きて来たのかもしれない。

デリーが近づくにつれ、マンション・商店建設現場が増えて来た。この辺がインドの経済成長の証拠なのだろう。道もよくなってきている。そしてデリー市内に入ると日も暮れていたが、大渋滞。何とかホテルに到着した時は既に午後の9時近かった。列車の4時間の所を8時間近く掛かったことになる。正直疲れた。

今日のホテルはそれまでのアシュラムとは別世界。次男は目を輝かせて、「素晴らしい」という。厳しい所を経験していれば出る言葉だろう。夕飯はホテルで取るが、イマイチ。ネットも何だか繋がらず。ただいいベッドだったので、ぐっすりと就寝。

4.アグラ   (1)アグラまで

翌朝は早く起き、ホテルをチェックアウト。インド最大の観光名所タージマハールへ向かう。何といってもデリーの渋滞は凄いため、朝6時台には出発。最近出来たという高速道路にスムーズに乗る。朝日が昇る頃、高速には車の影もなく、実に順調に進む。インドでは驚くべき光景だ。これもインドか。朝8時前にきれいなドライブインでチャイを飲み、ホテルで貰って来たサンドイッチや卵などで朝食を取る。この高速は昨年後半オープン、ドライブインは新設で、インドの会社が経営している。

本当にあっと言う間にアグラに着いてしまった。2時間ちょっと、以前友人から「デリー―アグラは悪路で6-7時間はかかる」と言われたことが嘘のようだ。昨年前半に行った人でも「高速で4時間以上掛かった」ようだから、この第2高速?の存在は驚異的だ。運転手によれば、高速料金が少し高いので多くの車は使わないらしい。

アグラの市内は我々が思うインドであった。ただイスラム教徒が多いな、と感じられる。当たり前か、タージマハールだって、イスラム建築なのだし。それにしてもインドはヒンズー教、というステレオタイプな考え方はちょっとな、と思う。

車が停まる。タージマハールに着いたのか。何となく小さいがタージマハールに似た建物が見えた。あれ、と思う。地元ではベビータージと呼ばれる建物。ここには観光客は殆どおらず、ゆっくり見学できる。建物の中に入り、つぶさに柩の周囲も見ることができる。実は本当にタージの内容を確認したければ、ここに来た方が良いらしい。

鮮やかなモザイク、シンプルな壁画。私が思うタージマハールがそこにあった。規模も小さく、それほど疲れずに回れるのも嬉しい。それにしても今日は天気が良い。気温も少し上がり、ちょうど良い。こんなインドもあるんだ、素晴らしい。

(2) タージマハール

そして、そしてついにタージマハールにやって来た。先程のベビータージとは当然ながら規模が全く違う。先ず建物の近くまで車が入れない。大型の駐車場に車を停め、そこから参道のようになっている道を歩く。土産物を売り込む若者がしつこい。その熱意にうちの若者二人はかなり驚く。馬車やミニバンに乗れとの攻勢もすごい。これが観光地だ、そして私の苦手な所だ。

何とか敷地内に入るがそこからもタージマハールまではかなりある。今日は良い天気なので気分よく歩く。サルがいたり、鳥が鳴いたり。そしてあのテレビでもよく見た荘厳な建物が見える。記念写真を撮るインド人がはしゃいでいる。写真スポットだけでも何か所もある。

人々が中央の建物に集まって行く。靴を脱いで上がり、中に入るが人が多く薄暗い。更には柩の付近には行けない。外側から眺めるだけ。ベビータージを見学した後では不満が残るが、本来はこんなものだろう。

左右にも大きなモスクなどがあり、とにかく規模が大きい。横には河が流れ、壮大な感じがする。今日の天気は快晴で、タージマハールが実にくっきり浮かび上がる。こんなタージを見るのは初めて、と何度もここを訪れているSさんがつぶやく。我々は日頃の行いが良いのだろうか、それともこれまでの修行生活のご褒美だろうか。




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