ダージリンお茶散歩2011(6)ダージリン ダージリンはイギリス時代の避暑地

トイトレイン

そんな話をしていると突然機関車が見えた。何と道の脇に線路がある。これが世界遺産のトイトレインか。特に興味はなかったが、目の前を機関車が走ると気持ちが変わる。何とか乗れないものか。ダージリンの街までもう少しと言う場所で車は停まった。そこに駅があったのだ。聞けばもう少しでトレインが出るという。チケットは250rpと観光客値段だが仕方がない。

駅の上には博物館もあり、昔の車両の部品やベルなどが展示されている。ユネスコのプレートには1881年の開業以来、現在も昔の形を残して運航していると称えている。この鉄道の開設に掛かった労力たるや凄まじい物があったことだろう。

出発の時間が来た。私は言われた場所に乗り込む。ところが欧米人のおばさんがやって来て席を替われという。ここは自分の席だと主張するので、車掌に確認すると私の席だった。日本人は概してこういう場所では言葉が通じないため小さくなっていて後で文句を言う人が多いが、欧米人はガンガン主張してくる。

列車は道沿いにダージリンを目指す。まさに家の軒先をかすめて進む。これは面白い。近所の子供が手を振って来る。振りかえす。と、機関車が吠えた。すると石炭が飛び散り、窓から飛び込んできた。久しぶりに頭から浴びる。これもまた楽しい。子供に帰ったようだ。

仏教の大きなお寺が見える。もうすぐ到着だろうか。崖崩れしている所もある。先日の地震の影響は明らかにある。実にゆっくり進んでいた機関車だが、40分ほどでダージリン駅に着いてしまった。残念、もっと乗っていたかった。

優雅なホテル 

運転手が駅で待っていた。車に乗り込み今日のホテルへ。ダージリンの街はマカイバリと比べれば相当大きいが、道は狭い。車は対向車、人々を避けながら、何とか進む。そしてついにある建物の前で止まる。傾斜地に建つ結構立派な建物である。

運転手は建物の中へ消えたが、車は明らかに通行の邪魔になっており、大変。暫くすると運転手が人を伴って戻る。その若者は私の荷物を軽々と肩に担ぎ、階段を上って行く。運転手は車を動かし去る。急な階段を上る。4階に受付があった。息が切れる。ここは山小屋風でもあり、何とも優雅なホテル。受付も実に丁寧に応対している。

チェックインすると更に1階上へ。その素晴らしく眺めの良い部屋に通される。え、私の宿泊費は1泊僅か4,000円程度だが。しかしあることを思い出した。マカイバリにやって来たインド系カナダ人が「このホテルは表に面している部屋は一晩中うるさいから辞めろ」。そうだ、私はいい部屋よりも静かな空間が欲しかったのだ。

受付でその旨伝えると、困ったように「あなたの料金はこの部屋だ」と言う。このレベルで裏向きの部屋はないと。そして全く見晴らしのない部屋に通されたが、こちらで十分満足。これが最近の旅で鍛えた良さである。料金より静けさを取る。

先ずはシャワーを浴びる。マカイバリではお湯のシャワーはなかった。これで5日間は正直日本人には辛い。ちょっと浴びただけで相当に幸せに感じられる。こんなことは日本では味わえない。節電とか、忍耐とか言っても、やはり実際に経験しなければ分からない。今回被災した人々の暮らしが本当に思いやられた。ついでに洗濯もした。

圧倒的な教会

それから腹が減ったので、街へ。マカイバリでは三食心配がなかったので、久しぶりに自分で食べ物を探す。これも人間の本能かもしれない。ダージリンの街は完全な傾斜地に作られている。狭い道に土産物屋や衣服を売る店などが連なる。一軒こぎれいなレストランがある。見ればパンがある。久しぶりに甘いパンやら、チキンパイやら買い込んで席に着く。

お茶はアッサムティーを頼む。これまで毎日マカイバリティだったので、気分を変えてみることに。値段はダージリンの方がアッサムより若干高い。この高地の眺めの良い場所に陣取り、飲むお茶は格別に美味しい気がする。何だか夢でも見ているような気がしてくる。高いと言っても日本円で僅か100円、気持ちの良いランチであった。

それから午後の散歩へ。私はダージリンの地理も分からず、目的地もない。まさに散歩である。少し歩くと広場がある。観光客を馬に乗せて金を取っている。こういう所を見るとダージリンとは観光地であり、避暑地であることが分かる。それにしてもこの街は英国植民地時代に開かれた所であろう、何となく英国風の建物が残り、雰囲気は良い。

突然目の前に威風堂々とした教会が目に入る。この高台から更に少し高くなった場所にそびえたつ。説明のよると1842年に創建され、その後1872年に再建されている。目の前の建物は140年前の物となる。門が閉ざされており、中に入る事は出来なかったが、壮麗な建物は周囲の人々を圧倒したことだろう。

それから周囲を歩き回る。途中マカイバリで会ったインド系カナダ人に出会う。彼らも同じホテルに宿泊している。彼らの旅はかなり贅沢な物と言える。元がインド人でも、先進国カナダから来れば、過酷な旅は難しいかもしれない。いや、奥さんは白人だからだろうか。

お茶を売る店もあった。何と日本語で直売と書かれて所もあった。マカイバリ茶も堂々と売られていた。ダージリンに来た観光客は当然紅茶を買うのだろう。では、庶民は何を飲んでいるのかと見ていたが、やはりチャイのようだ。チャイは5rpぐらいで飲めるから、庶民のお茶である。

また道を歩いていて気が付くことは、学生が小学生でも高校生も制服を着ていること。またこの制服がビシッと決まっていてなかなか良い。英国風の名残かもしれないが、きちんと制服を着ている姿に秩序を感じる。それにしても、あの制服いくらするのだろうか。やはりお金が無いと教育は受けられないのだろうか、と考えてしまう。




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