『インドで呼吸し、考える2011』(19)デリー いくつもの顔があるデリー

インドの価格差とは
メインバザールをずっと歩いて行くと地下鉄アシュラムマグ駅に到着する。地下鉄と言っても高架であるが。午後は博物館に行きたいと思っていたので、セントラルセクリアット駅へ向かう。駅から地上に上がったが、広大な場所であり、どこへ行ってよいか分からない。とても立派な建物が見えたのでそちらへ。そこは国会議事堂と官庁街であった。建物の一つは財務省、つかつか入っていくと警備員は建物の前まではノーチェック。入り口で初めてチェックが掛かったが、実に丁重な英語で入館を断られる。とても不思議な感じだ。

反対側の遥か遠くにインド門が見える。あそこまでオートリキシャーで行きたいが、流しが走っていない。皆チャーターしている。またクラシックカーかと思う立派な車で来ている者もいる。仕方なく、とぼとぼ歩く。途中まで来ると突然流しのリキシャ-が大量にいる。そうか、流しは入れないのか。しかし彼らは私の(疲れている)足元を見て50rpだ、100rpだと法外な料金を要求する。行先は見えているのだから、彼らの足元を逆に見て、メーターの最低料金である20rpを下回る10rpを提示。誰も受けないと見るとさっさと歩きだす。すると、1台が追いかけて来て、10rpでいいから乗れ、と合図する。とうとうインド人に打ち勝った気分。しかしそれは僅か1㎞の距離であり、当然の値段。

インド門を一周して、博物館が何処にあるかよく分からないまま再び歩き出す。またさっきのリキシャ-が来て、10rpで乗れと言う。何となく癪で歩き出す。のどが渇いた。道端のスタンドでスプライトを1つ買おうとすると何と150rpだという。あまりに高いので驚いて見せると120rpになったが、買わずに離れる。そしてすぐ隣のスタンドで同じ物を買うと何と30rp。それでも普通の店より高いが、この価格差には唖然とする。何でもアリだな、この国は。

博物館をようやく見付けて、見学する。なかなか雰囲気のある仏像が多数あり、見とれる。そして出口の門から外へ出ると、クラシックカータクシーが目の前に登場。これまでなら無視してやり過ごすが、面白そうだし、疲れているので乗ってみることに。料金はメーター通り50rp。それほど高くない。

運転手は私が香港から来た、と告げると最近中国人観光客が多いと言い、自分の知る限りの中国語を話しだす。ちょっとビックリ。そして仕切りに以後の私の予定を知りたがる。車をチャーターしてもらいたいのがありあり。その手に乗らずかわしていると、最後は50rpを受け取り素直に分かれた。リキシャ-から1㎞100rpと言われたり、タクシーが数キロ走って50rpだったり、何とも分かり難い国である。

7月23日(土)
17.デリー3日目
隠れ家的日本人経営の宿
デリー3日目、今日は観光ではなく、街歩き。先ずはデリーで日本人が経営している宿を訪ねる。今回出発前に何人かに聞いたり、ネットで見たりしたのだが、デリーの日本人経営宿は見付からなかった。ところが昨日日本語のフリーペーパーを発見し、見ていると、広告が出ていたので行って見ることに。

リキシャーで来るように言われたが、例のごとく地下鉄で。昨日も行ったセントラルセクリアットでバイオレットラインに乗り換え、カイラスコロニーで下車。5分ぐらい歩いて行くと高級住宅街に入る。ところが住居表示が非常に分かり難く目的地になかなか着けない。最後はまたまた携帯で電話してようやく到着。

ここサプナ(http://sapna.exblog.jp/10136506/)は「デリーの小さな宿、日本人のためのゲストハウス」と言う謳い文句とはちょっと様子が違う。高級住宅の貸部屋。中に入ると日本人の中年男性が3人、PCを触りながら朝ごはんを食べていた。その光景はゲストハウスではなく、高級下宿。

朝食付きで1泊7,500円からというのは頷ける。朝食は和洋印から選べ、広々としたリビングで取る。インドの住宅は各部屋にバストイレが併設されており、宿泊者はトイレで悩むこともない。非常に清潔感があり、またゆったり感がある。

店主の日本人女性Mさんにお話を伺うと「初めは自分が食べていければよいと開始、近所に有名な女性向けファッション・雑貨市場があるので、女性の一人旅などで泊まって欲しかったが、実際には企業駐在出来た人々の始業時の宿となっている」とのこと。現在N-34に3部屋、N-22に6部屋を有する。Mさんはデリー滞在15年、働かないで暮らすつもりだったが、その後自分にできることとして7年前にこのゲストハウスを開業。インド人パートナーもなく、数人のインド人従業員を使って運営している。

お話の端々に「デリーには建築上の高さ制限あるが、最近は1階に駐車スペースを作れば4階まで可」「グルカオンは別の州で制限がなく、日系企業もかなり引っ越した」「インド人は土地を分割しない。銀行の抵当品でも内部で購入してしまう」など、インド事情が溢れだす。Mさんはお母さんのような存在であろうか。

デリーに行ったら、インド人の高級家庭を体験する意味でも、決まりきったコースを外れてこのような宿に泊まってみるのも面白い。周辺にはブティックやレストランなどもあり、観光では見られないデリーの一面に触れる機会にもなる。

インドの中産階級を見るグルガオン
午後は地下鉄でグルガオンへ。先日会ったM先生からも「インドの発展を見るのであればグルガオンへ行け」と言われたので、訪ねた。デリー中心からほぼ1時間、地下鉄が高架に変わっている駅に前には、大きなショッピングモールがいくつも見える。グルガオンのどこへ行くかではなく、その辺に行けば分かる、と言われた意味が分かる。

MGロードと言う駅で降りてみる。駅前にはCitibankや携帯のサムソンの大きな看板がかかるショッピングモールが見える。本日は休日と言うこともあり、大勢の人が中へ吸い込まれていく。

中へ入ると作りは日本のデパートとほぼ同じ。1階の化粧品コーナー、2階の婦人服と続いていたが、その人の多さは私が子供の頃体験したデパートを想起させる。そして来ているだけではなく、大量に買い込んでいる。ちょうどバーゲンだったのだろうか。

値段は物にもよるが、中国並み。インドの中産階級と言われる人々のバーゲニングパワーを見る思いだ。正直あまりに人が多く、そして勢いがあるので、こちらは何となく気圧されて外へ出る。押し出される感覚だ。外には駐車場を求めて車が殺到する。

どのショッピングモールにも、マックやピザ屋が付いており、ここも家族連れなどで超満員。また映画館併設のシネコンもあり、ボリウッド映画も上映されている。ここはある意味ではインドではない。資本主義に刺激された人々が増えるにつれて、インドも内面から変化していくのであろうか。




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