福建・広東 大茶旅2016(14)芳村を歩く

ここでTさんとは分れた。彼は連日遅くまで歩き回り、写真を撮り続けている。それはいくら若いとはいえ、凄い。私はふらふらしながら、地下鉄の駅に向かい歩き出す。すると昨日やってきた文化公園の近くに出た。何となく表示を見ると『十三行路』とあるではないか。そこを歩いて見たところ、ここはアパレルの集積地になっており、大勢のバイヤーが行き来し、荷物が往来を行き交っている。この賑やかさは、往年の貿易時代、広東十三行の活動を彷彿とさせるものがあった。広州はやはり雑貨とアパレルの街。中東系、アフリカ系バイヤーもそれを目指してやってくる。

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疲れたので、地下鉄に乗り、宿へ戻った。そして夕方はゆっくり休み、夕飯だけを外で食べ、後は大人しくしていた。やはり先日の体調不良が尾を引いている。Tさんは夜10時過ぎてやって帰ってきた。すごい体力と執念を感じる。なぜか部屋のお湯がちゃんと出なくて困る。実は今は広州名物、交易会の時期に重なっていた。昔ほど盛んではないらしいが、それでも世界中からバイヤーがやってくるので、宿は混んでおり、その結果、ここが予約されたということがようやく分かってきた。

 

1017日(月)
広州茶文化促進会

翌日は車が迎えに来て、茶文化促進会を訪問した。昨年台北で1度だけ会ったKさんが、広州在住になっており、連絡したところ同行することになる。地下鉄の駅で待ち合わせ、Kさんを拾い、茶葉市場の方へ向かう。促進会は、まさに茶葉市場のビルの一つの中にあった。まあ、お茶の関係だから当たり前からも知れない。

 

黄会長が待っていてくれた。彼は長い間、中国に茶文化を根付かせようと努力していた。初めは政府の支援もあったが、今は民間として活動しているようだ。先日案内してくれた張さんは、この会の会報制作を担当している。年に何回も会報を作り、会員とお茶の旅にも出て、理解を深めているという。今の中国で茶文化、と言えば、下に産業という言葉が付きまとい、茶旅と言えば、お茶の旅をさせて儲ける、ティーツーリズム的な発想が主流の中、このよう地道な活動は貴重だ。

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更には我々が茶葉貿易の歴史に興味があるのを知って、元茶葉輸出入公司に勤務していた女性を呼んできてくれた。我々が調べている近代、というより、むしろ現代の茶葉事情に及び、大変参考になる貴重な話が沢山出てきた。紅茶というのはその基本はブレンドであり、中国紅茶もその例外ではないことを再認識した。英徳の紅茶も新中国後の生産だし、紅茶そのものが輸出品であり、その原料を確保するため、雲南から広東に茶樹が持ち込まれ、植えられたりもしている。

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そして近くでお昼をご馳走になり、午後は茶葉市場を歩くことにして黄会長と別れた。Kさん、Tさんと3人でフラフラと店を探す。それにしても店の数が多過ぎる。5700店あると言われたが、誰が数えたのだろうか。取り敢えずいつも行く黒茶の店へ行ってみる。何しろここは骨董屋のように様々な古い茶が所せまして置かれていて楽しい。私はなぜかここで紅茶を買うことにしている。

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次にKさんが政和白茶の店を紹介してくれた。政和の茶を売っている店はこの広い茶葉市場にも殆どないらしい。何しろ香港人は政和の茶を好むが、産量が非常に少なく、いいお茶は香港の茶商に直接買われていくので、市場ではあまり見かけない。4月に政和に行った時、それはよくわかっていた。私は政和の寿眉が大好きなのだが、Kさんは銀針がよいという。茶葉がきれいだ。

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続いてKさんにお買い物に同行する。彼女は台湾でお茶を習い、広州に来てからも知り合いにお茶を教えているという。だから講座で使う茶葉を調達する必要がある。雲南紅茶もその一つ。プーアル茶の店でも、最近は紅茶を扱っている。特にプーアルも古茶樹ブームであるが、紅茶は野生茶ブーム。私も4月に昆明で飲んだ野生紅茶を美味しいと感じたが、本当の野生茶は驚くほど高価だ。

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雨模様の平日ということもあってか、市場は閑散としていた。Tさんは写真を撮りに行くと言ってここで別れた。我々は更に探検を続けようと思ったが、かなり疲れてきた。ビルの中をぐるぐると歩いていると、昔黒茶を買った店を発見。東京のI夫妻の名前を出すと笑顔で迎えてくれたので、休む。ここで以前買ったお茶を試しに4か月続けて飲んでみたところ、体がかなりスッキリした。また必要になるかもしれないと思い、新たに購入する。値段は少しずつ上がっているが、まだまだ安い。

 

そのままフラフラと地下鉄の駅の方へ歩いて行く。駅まではかなりあるのだが、Kさんと歩いているとお茶の話で盛り上がり、楽しく過ぎていく。台湾で出来たご縁が広州で生かされる、何とも有り難いことだ。明日もまた新たなご縁があると思われるが、それを彼女にも伝えたい。さて、どう繋がるのだろうか。因みに彼女のご主人は私の元同業者。ここにもご縁があるのかもしれない。小雨の中、私はそのまま歩いて宿へ戻る。

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